お茶を愉しむうえで欠かせない道具。それが茶器です。身近な物では、茶碗や急須などがあり、茶道に使う茶道具まで含めると、掛軸や花入れなども入ってきます。
そんな奥深い茶器のことを教えてくれるのは、(有)いとおの伊藤憲彦さん。店内には茶道、煎茶道、華道、香道などの道具がズラリと並び、見ているだけでも楽しくなります。今回は特に静岡にゆかりの深い茶器を中心に、その特徴や魅力についてお話を伺いました。
志戸呂焼の建水。建水(けんすい)は茶道に使う道具で、
茶碗を清めたり温めたりした水やお湯を捨てるために使うものです。
この建水は形が特徴的で、上部が円形で下部が正方形になっています。
志戸呂焼の茶碗で「げんこつ茶碗」と呼ばれるものです。
明治時代に流行した志土呂焼の技法で、名前の通りこぶしで形をつけています。
無骨さときれいさが同居する「きれいさび」を表現した逸品です。
志戸呂焼の茶壺。茶壺は石臼で擂り潰す前の碾茶(てんちゃ。抹茶の原料)を
保管するための道具です。茶人の正月とも言える11月の炉開きにあわせて、
茶壺の封を切って新茶を味わう習わしがあります。
志戸呂焼のマグカップです。煎茶に限らず珈琲や紅茶を淹れても美味しく
いただけるでしょう。これなら気軽に使えそうですね。
近頃は珈琲の代わりに抹茶を点てて飲むという方も多いようです。
茶道で抹茶を入れる棗(なつめ)。手のひらに乗るほどのかわいいサイズです。
この棗は駿河漆器で、蜻蛉塗の作品。この美しい棗を見ていると、
茶器が「使う美術品」とも言われる理由がわかりますね。